
410Gallery Award
Award-winning artist solo exhibition
410Gallery Award アーティスト個展 #06

小鳥乃子
塩屋
2025.3.20(木)-3.23(日)
”塩”は私たちにとって古くから身近な存在ですが、使う量によって、ほどよいものにも度をすぎたものにもなり得ます。
今回はそんな”塩”にまつわる愉快な人々の姿と商品を展示します。
ほどよい塩梅が見つかることを願っています。
小鳥乃子
コトリノコ/アーティスト
プロフィール
福岡在住。大学ではグラフィックデザインを専攻とし、大学院ではより社会に関わる総合的なデザインを学ぶ。幼少期から絵本のあいまいさや怪しさ、なつかしさなどの魅力に惹かれ、絵や物語を中心とした創作活動を行っている。
1998年 福岡県 福岡市 生まれ
2021年 九州大学 芸術工学部 画像設計学科 卒業
2022年 フィンランド アール大学 留学(1年間)
2024年 九州大学 芸術工学府 デザインストラテジー先行 修了

正か邪か、「塩加減」で心をザワつかせる 小鳥乃子
個展「塩屋」を開いた小鳥乃子。
この表示も自らデザインしたものだ
一度見たら夢に出てくるに違いない。
大柄な人物の膝の真っ赤な擦り傷に、少年らしき人物が塩を塗っている。タイトルは「傷口に塩を塗る人」。塩の入った壺を抱え、指先に神経を集中させるその目は無表情だ。
並べて展示されていた作品のタイトルは「手塩にかける人」。今度は、大柄な人物が少年に塩をふりかけ、塩は頭上に山のように積もっている。どちらの絵も大柄な人物の顔は描かれていない。見る者の視線は、少年の無表情な目に吸い込まれていく。
個展のタイトルは「塩屋」。いかにも奇妙だが、塩という人間にとって不可欠な化合物に着目したところに、小鳥乃子の非凡な発想力がある。
「傷口に塩を塗る」という言葉は、家族の何気ない会話がヒントになった。調べてみると、塩を使った言葉のバリエーションは思っていた以上に広かった。「しおらしい」「敵に塩を送る」「塩気がぬけた人」「塩対応」……そして「塩梅」(あんばい)。

「手塩にかける人」

「傷口に塩を塗る人」

「塩顔水」の3連作


塩顔水の商品パッケージ
塩顔水の商品広告
■「悪にも正義にも振れない言葉が好き」
もともと「悪にも正義にも振れない言葉が好き」だった。中学高校とキリスト教系の学校に通い、信者ではないが自然と宗教感が身についたのだろう。古代ギリシャに由来する仏像のアルカイックスマイルにも興味を持った。顔の感情表現を極力抑えながら、口元だけは微笑んでいるように見える。小鳥乃子という作家の押しつけがましくない表現は、そこに原点があるのかもしれない。
その最たるものが「塩顔」という3点の連作だ。作品の下には「塩顔水」という架空の商品の広告が置いてある。無表情でつるっとした顔の人物が描かれ、「新時代 あっさりを追求」「フェイス用」「効果が見られました」とキャッチコピーが添えられている。

個展会場にたたずむ小鳥乃子

「塩顔 1カ月後」

「塩顔 2カ月後」

「塩顔 3カ月後」
■これはもはやホラーと言ってもいい
塩顔の人物は、塩顔水の使用から1カ月後、2カ月後、そして3カ月後と表情が変化している。3カ月後は目、鼻、口ともに小さく薄くなり……。これはもはやホラーと言ってもいい。ホラー漫画家・伊藤潤二(代表作「富江」「うずまき」)や、楳図かずお(代表作「漂流教室」「まことちゃん」)のファンだというのもうなずける。
この塩顔水には、もうひとつ仕掛けがある。なんと、商品のパッケージをデザインし、そのステッカーまで作ってしまったのだ。九州大学芸術工学部・大学院ではアニメ、映像、CGからプロジェクションマッピングまで学んだだけあって、架空の物とは言え、訴求力のある商品に仕上げたのは驚きだ。
幼い頃、昆虫の抜け殻を集めるのが好きだったという経験から描いた作品「抜け殻を作る玩具」も面白い。イモリのような生物の抜け殻を手に、ちょっとうれしそうな少年を描き、説明文には「このヌケガラ液を使えば、好きな形の抜け殻を作ることができます」とある。

「抜け殻を作る玩具」

「声が出る霧吹き」

「蚊にさされている子」
■絵本作家になりたいと言い続けて
スプレーを吹くと「マ」の音が出る「ママスプレー」を描いた「声が出る霧吹き」、蚊に顔を刺されても殺すのはかわいそうだという「蚊に刺されている子」など、誰も考えつかないであろう独創的な作品群は、細部まで何度も見たくなる。
幼稚園の頃から、絵本作家になりたいと言い続けてきた。2024年3月に大学院を卒業し、アルバイトしながら制作に取り組む日々。人々の心をザワつかせる新作の発表が楽しみだ。(ライター・藤堂ラモン)




410Gallery YouTube チャンネル
「RIS410」#02 小鳥乃子氏インタビュー→こちらから
410Gallery Awrad アーティスト個展 #05

わんぱく中年とのまる
エクストリーム”こうさく”作品展
architecture 2.0
2024.10/3(thu)-10/6(sun)
自称・世界の“こうさくし”と名乗るアート活動家。
子供の頃に経験した図画工作を表現方法に用い、工作とアートが交錯する点を狡猾に考察しながら日夜extremeな“こうさく”活動をしています。身近な物を使用したインスタレーションや、街を斬り撮ったり、大喜利感覚で技法や技術に拘らない作品を制作しています。
【活動履歴】 個展・グループ展 2023年 FLOW(igu_m_art) PHASE(gallery yongou)2024年 architecture(gallery yongou) un do plus(sweets gallery ℃ sesshi) architecture 2.0(410Gallery) アートイベント・企画展 2023年 Independent Tokyo 2023(東京都立産業貿易センター) 2024年 第一回松本国際アート展 un do展 ※最優秀賞受賞(松本市立博物館) BILLIKEN CREATORS OSAKA 4(田村駒(株)大阪本社) 躍動する現代作家展 ※410Gallery賞受賞(福岡アジア美術館) 4 ROOMS ART(シーサイドスタジオCASO) 池袋回遊派美術展2024(自由学園明日館) Chignitters ART CAMP(チグニッタ) Independent Tokyo 2024 ※タグボート特別賞受賞(東京都立産業貿易センタ)2024年現在

大人の遊び心に刺さる
独創的快作
わんぱく中年とのまる
マスク姿がトレードマークのわんぱく中年とのまる
自称
「世界の“こうさくし”」
大人の遊び心を刺激する独創的な作品群は、一度見たら脳裏に焼き付いて離れない。
例えば「DOGLE SUIT」と名付けられた立体作品。神秘的な存在感と潜在的なエネルギーを感じるのは私だけではないだろう。縄文時代の「遮光器土偶」とアニメ「機動戦士ガンダム」のモビルスーツ (MOBILE SUIT)を合体させたと聞いて、なるほどと納得しつつ、その発想に驚かされた。
1万5000年近く続いた過去の平和な文明の産物である土偶と、宇宙で暮らす人間が着用することを想定して描かれたモビルスーツを合体させる。そのことにどんな意味があるのかはわからない。しかし、一種のオーラとでも言おうか、不思議な力を感じてしまう。
そうしたひらめきと遊び心は、アーティスト名にも表れている。「とのまる」というのは、水島新司原作の野球漫画「ドカベン」の登場人物、殿馬一人(とのま・かずと)に由来する。野球選手としては小柄だが、奇想天外な打法で「秘打」を放ち、ピアノの腕が超一流という殿馬への憧れ。それが独創性につながっている。

過去と未来が合体した存在感を放つ「DOGULE SUIT」

ハナさむらいとゆかいな仲間たち・the greatest super(最高の晩餐)
大阪市で生まれ育った。お笑いの街・大阪ではよくあることなのだろうが、幼い頃からお笑いが好きで、芸人になろうと志したこともある。でも、集団の「体育会系のノリ」にはついていけない。それで「アート表現なら、やったらあかんことも少なそう」と、独学で作品を作り始めた。遊び心の原点はそこにありそうだ。
とは言え、それでは生活できない。写真の現像、眼鏡店、医療機器レンタルの営業など、職を転々としながら生きてきた。転機は2018年。同居していた両親の足腰が弱り、介護が必要になった。それで離職して介護に専念し、同時に創作活動も本格化した。
すると、イラストが関西の公募展「アートストリーム2018」で入賞を果たす。タイトルは「ハナさむらいとゆかいな仲間たち・the greatest supper(最高の晩餐)」。「武士のちょんまげが花やったら面白いかなという、しょうもない発想」から描き始めたパロディー作品群だが、動物、ギャル、レスラー、歌舞伎役者など表情豊かなキャラクターが飽きさせない。
これで勢いをつけたいところだったが、20年には新型コロナウイルスのパンデミックが起き、作品発表の場がなくなった。大阪を含む7都府県に緊急事態宣言が発出された翌日の4月8日、誰もいない街を歩いてハッとした。

コロナ過の街の情景を切り撮った写真集「PRESENCE」
「建築物がこんなに美しいもんやったとは」
それから毎日、誰もいない街で写真を撮り続けた。約2年間、スマートフォンで撮りだめたものを写真集「PRESENCE」として23年4月に出版した。人間不在の人間の街で、建造物の純粋な美を写し取ったアートであり、パンデミックの記録としても貴重な一冊だ。
「自分の中で何かが変わった」というこの活動が創作にも影響を与えたのだろう。

「architecture」
と名付けた作品群の創作に力を入れ始めた。

「DOGLE SUIT」もそのひとつ。24年、長野県松本市の「第1回松本国際アート展 un do展」(松本市立美術館)で最優秀賞を受賞した。福岡市の「躍動する現代作家展」(福岡アジア美術館)で410ギャラリー賞を受賞したのも「architecture」シリーズ。

名刺もユニークなアートだ
サイコロを積み上げた奇妙なarchitecture
410ギャラリーでの個展には、ゲームのキャラをモチーフにした作品や、アクリル板を重ねて光が乱反射するカラフルな作品、サイコロを積み上げた奇妙な構造物など、見る者のインスピレーションを高める仕掛けが施された快作が並んでいた。1975年生まれの49歳。遅咲きの才能は、まだまだ進化し続ける。(ライター・藤堂ラモン)




410Gallery Award アーティスト個展 #04

イトウタカシ 個展
「Bの塔とインスピレーションクリーチャー」
2024.9/13(fri)-9/16(mon)
子供のころからコトバで自分の想いを伝えるのが苦手でした。コトバに出さない限り他の人は「何も考えていない人」と見なしていたような気がします。それでも、物を作ることで他者や社会とつながることができてきたように感じています。
声にならなくても、誰しもが心の中にコトバを持っているのだということを考えながら、創作しています。
受賞歴:日本クラフト展入選・日本クラフト展、朝日現代クラフト展入選・ART DECORATION 2023 410Galllery賞・Brain Brunn Art Award 2023 大賞・第11回躍動する現代作家展 最優秀賞・カンカク展#1 カンカク賞・Independent Tokyo2023 神谷敬久賞・第12回躍動する現代作家展 特別賞・100人10選出



410Gallery Award アーティスト個展 #03

Kenji Moroi
Solo Exhibition
My prayers
2024.2/22(thu)-2/27(tue)
独特な造形や衣装に身を包み、どこか神聖な空気を纏った人物の塑像彫刻を制作する諸井謙司。作家として10年の節目に制作を振り返り、日々の生活と制作の間に生まれた「祈り」や「願い」を様々な形で表現した作品を展覧する。
諸井謙司
1988年 3月29日に佐賀に生まれる
【主な受賞歴】
日展第40、42、43、44、45、第1、2、3、6、7、8、9、回日展入選、第10回日展特選・日展会友



410Gallery Award アーティスト個展 #02

なな個展
こころね ~形・色・歌~
2023.12/23(Sat)-12/26(Tue)



410Gallery Award アーティスト個展 #01

35TH LEE KOOHA's
ONE MAN SHOW
PATINA-Blooms
2023.8.3-8/8